家島(いえしま)
●家島群島_兵庫県
30人乗りのチャーター船で家島群島を一周した。
乗客は小鉄と二人だけ。
船長の高山欣也さん(28)が親切に説明をしてくれたが、間近に見る島の無残な姿に思わず息をのむ。
生活のためには産業は必要なのはわかる。
それに違法ではないのだが…。
私は自然を愛し、感謝をしつつこの『離島巡り』を試みた。
そして58島目にこんな“現実”に遭遇して言葉を失う。
自然を壊し続けられるのは実に哀しい。
西島の頂上にある大きな石(10メートル×7・5メートル)。
かつてはそこに『東大寺山』(188メートル)があったそうだが、いまは見る影もない。
この石のことを地元では「コウナイの石」と呼ぶが、その意味はもはや誰にも答えられない。
「頂上石」にまつわる神話は数多くある。
石の間近にまで採掘の手が迫って来て、崖っぷちでいまにも崩れ落ちそうな石の姿に、現代人のおかれている現実がダブるのである。
夕食は宿の息子・高島一彰さん(29)が案内してくれた真浦港前の『おかべ』
おススめの「雑魚(じゃこ)鍋」は白みそ仕立て。
とれとれのメバル、コチ、活車海老、カキ、メダカ(カレイの小さいもの)サゴシなど。
じゃこ鍋
玉ネギとごぼうを入れて、甘みが出たところで魚を入れる…。
野菜類はスープで、魚は自家製のポン酢でいただくのだが、このポン酢がウマイ。
甘くて酢味がほどほどでアッサリとして、まさに“味の太鼓判!”。
きけばまだメニューにもない“新作”なんだそうだ。
オーナーの岡部賀胤(よしたね)さん(40)苦心の作品。
「料理は心」とはよくいったもので、気持ちのこもった“島のごちそう”に小鉄と二人、思わずお腹をさすって…ゴチソウサマ。
この岡部さんと高山船長、宿の高島さんの三人は「島の活性化」に取り組んでいる。
将来を考えて素朴な島を取り戻したい…と地道な活動をつづけているのに拍手を送りたい。