離島60めぐり---第26訪島(3)
神島(かみしま)
●志摩諸島_三重県 狭口を登ると、やっと『神島灯台』。
伊良湖水道を一望できる大パノラマだ。
静かな海を大型船が行き交う様は水色の絵の具を流したようだった。
伊良湖水道
下り坂にさしかかると、道の西側にはロープがはってある。
足元がすべりやすいためで、ロープをつたいながらゆっくり歩をすすめる。
そして『潮騒』のクライマックス。
監的哨(かんてきしょう)は戦時中に海軍が使っていたコンクリートの廃墟。
ここから眺める景色はまさに絶景。
自然が自然であるがゆえの何もないという、このうえない贅沢。
「潮騒」の舞台、監的哨 平成の初江(小鉄)
大自然の海のパノラマ、圧巻絵巻だ。
若者が心を焦がしたひとときの熱い吐息…。
あれは本当に小説のフィクションだったのか?
自分たちのノスタルジィをくすぐられる風景。
となりの小鉄とは沈黙を守り海に釘付けにされた。
この場所から、なかなか立ち去りがたい思いだ。
ここから細い下り坂も志摩半島では貴重な景勝地。
自然の造形、石灰岩が侵食され鋭利にとがったり空洞になっていたり、長い年月で風化した奇妙な形のカルスト地形。
石灰岩の白、海の青さのコントラストは自然が絵画。
伊勢港カルスト地形
島は1周4キロメートルゆっくり歩いて2時間。
鉄人と小鉄だけの“潮騒”へのタイムスリップ、自然いっぱいの旅だった。
『潮騒に 心洗われ 神の島』