離島60巡り出版に思う
報知新聞大阪本社 編集局長 後藤田 正人
離島の旅などというと、物悲しげな哀愁が漂うシーンが目に浮かぶものだが、
海外旅行400回以上という池内嘉正さんの今回の“旅の鉄人”だけあってサビの効いた味わいがある。
島の人々の温かい心に接し、自然を口にする喜びが、犇々と伝わってくる。
そして忘れられたかのような人情が、そこにはあった。
団体、ツアー旅行では味わえない手づくりの旅こそ、個性を発揮するまたとないチャンス。
これからの若い人に求められるのは、いかに自分の個性を積極的に表現するかだが、
旅する池内嘉正さんの心の中にもその答えがあるように思える。
ぜひ、若い人にも読んでもらいたい。
1年数ヶ月で日本の離島60を駆け巡った。
ちょっと普通の人ではできない芸当だが、それも60歳の還暦を記念しての走破。
60歳といえば一般社会では定年を迎える。
第一線から身を引いたとはとはいえ、土、日曜日は青少年の育成ゴルフのボランティアなどゴルフでびっしり。離島の旅はその間隙を縫っての快挙だった。
「健康な肉体にこそ健全な精神が宿る」を地で行くもの。
人生60歳から再スタートできることを証明している。同世代の人達にも大いなる勇気を与えてくれた。
この書の元原稿は「スポーツ報知」大阪本社に平成11年4月から同12年6月まで
日本の旅再発見「離島60巡り」として60回にわたって毎週金曜日付けでカラー版で連載された。
今回の出版は当時使い切れなかった写真、逸話などを再編集したオリジナル版です。
池内嘉正さんの旅を知れば知るほど日本人は団体旅行はできるが、冒険心が少ないように思えてくる。
手づくりの旅を、それもできれば格安でできてこそ、日本人も一人前の旅人といえるのではないでしょうか。
本書はその手引き書のひとつでもある。
最後になりますが、この離島60巡りにあたって旅の鉄人が“完投”できたのは、
池内夫人の内助の功があったことも付け加えておきたい。夫婦とはいいものだ。
著者と後藤田正人氏